プリキュア5GOGOの考察

昨日見終わったプリキュア5GOGOの考察です。
MHよりは短くなった。スイプリぐらい。
書く前に中見出しつけると書きやすくて長めになる傾向。

      • -

プリキュア5GOGO

■権威としてのエターナル

 GOGOの敵、エターナルは前作プリキュア5(以下5と略)の敵、ナイトメアと同じように、現実世界の「会社」のような組織である。
 エターナルが強大な敵であろうと、プリキュアという物語の上では、負けるのが確定している組織である。負けることしかない敵をどうやって強く強大に見せるかはスタッフの腕の見せ所だろう。
 エターナルの場合は、プリキュアに負けると「組織として対処すべき問題」として、担当した幹部に「報告書」の提出を義務づける。そのため、プリキュアが勝ち続けたとしても、プリキュアに対する報告書はたまり、それがデータの蓄積になり、逆転する可能性を秘めるのだ。それにより、エターナル側がいつ勝ってもおかしくないという演出が成り立つと見る。
 エターナルは「会社」のような組織であると前述したが、具体的にいえば、行政的意味での権力を持った「役所」に近い組織であろう。
 エターナルは世界中にある「宝」を鑑定し、「価値がある」ものなら収集する組織である。
 つまり、宝を鑑定する能力があり、それを権威として、価値の有無を判断している。
 ちょっと話を分解してみよう。
 現実世界において、「宝」が指すところの、芸術品や骨董品は専門家という権威がどれほどの価値があるかを鑑定する。
 芸術品は骨董品の価値はその品に至までの経緯を把握しないと価値が十二分にわからない。その知識を普通の人に求めるのは酷なので、専門家が行う価値の判定を信頼する事になる。この専門家が“権威”である。
 この場合の権威は否定されるものでは無い。それは権威ある専門家が本当の知識を有している場合の話である。しかし、この場合の“本当”とは価値観によって変わる物であり、ある見方をすれば“本当”に見えても、別の見方によっては“本当”じゃないかもしれない。ある権威を信用するのは自分自身の見聞を広めるのに有効である。しかし、権威を盲目的に信じず、その権威が権威と呼ぶにふさわしいかどうかを見極めることが重要だ。
 「どの権威を信じるか」というのは、どの政治思想を支持するかに近い部分があり、単純に正解を導けない。たとえば(例えになっていないが)「ある政党が出した法案」というのは、“ある政党”の権威によって出された法案とも言える。
 その、単純に正解が導けない“権威”を、強引に一極化させたのがエターナルのやりかたと言える。
 対してプリキュア側は、権威の押しつけを拒み、その物にこめられた想いが大事だとした。実は、これも、“プリキュア”という権威が出した答えである。
 権威と反権威の対立ではなく、権威の一極化と多様化の対立軸である。
 たとえ話をしよう。「大きな古時計」に出てくる古時計を「百年前から動いていた時計だから価値がある」とし、他の価値観を認めないのがエターナルで、プリキュア側は「おじいさんの古時計」とする。おじいさんの古時計とした場合は、その“おじいさん”が祖父なのか、他人なのかで価値が変わる。つまり、人によって価値観が変わるのが当たり前とした考え方だ。

■夢から目標へ

 前作5は「夢と現実」の物語と筆者は評しているが、GOGOは、その夢に具体性を持たし、「目標化」していく物語と捉えている。
 のぞみは「学校の先生」を目標とし、りんの弟妹の家庭教師を行うエピソードで、のぞみの夢は絵空事ではないとしている。
 りんはアクセサリーデザイナーを目指し、ナッツハウスの商品を作成したり、アクセサリーを付ける兄と迷子の妹のエピソードでアクセサリーの意味を再確認する。
 うららは女優になることを目標とし、現状の「アイドル」という立ち位置をより充実させたり、オーディションに挑んだりする。
 こまちについては前作5でも自作の小説を投稿するなど具体的行動に移していたので、GOGOでは姉を出し、和菓子屋の後継者の話を絡めたりする。
 かれんは医療関係を目指すとし(医師ではなく、医療関係としたのは、看護師も範囲に入れることにより、より現実的にしたのであろう)、勉学に励む。また看病するエピソードで病気や怪我に対しては医師や看護師以外は無力だけど、自分に出来ること(看病)を出来る限りする話をする。
 つまり、5では漠然とした夢を持っていて、プリキュアに専念していた面々が、GOGOではそれぞれの夢に向かって具体的行動をはじめ、自立の物語になっている。結果的に、一緒にいる時間が減っている事にも繋がっている。序盤にスコルプに「欲張りすぎてどれも中途半端」といわれるが、終盤にはそれぞれの夢を大事にしていく。
 のぞみがりんの弟妹の家庭教師をやるエピソードで、「何で勉強しないといけないの?」という問いに「花を咲かせるための肥やし」とした。花とは夢の実現であり、肥やしは勉学だけではなく、アクセサリーのデザインに悩むりんも、小説を書き続けるこまちも肥やしになっているであろう。
 そしてラストの暗喩である。
 種は対象視聴者の幼児であろう。どの種だって花を咲かせる可能性があるし、より綺麗に咲かせる為に様々な肥やしが必要だろう。大きなお友達的には「根腐れする可能性もある」と思ってしまうが、それは、笑い話としておいておこう。

 この章の最後になってしまったが、ミルキィローズはパルミエ王国の象徴であり、当事者としてプリキュア達と戦っている。ミルキィローズの夢はパルミエ王国の繁栄であり、そのための目前の問題として、国王のココとナッツを守ることが目標だ。そのため、現実に繋がるプリキュア達とは別の描かれ方をしている。
 たとえば、竹取物語をモチーフとしたエピソードの時、のぞみは「帰りたくなければ、帰らなければいいじゃん」とし、ミルキィローズは「待っている人がいるのだから、帰るべき」という。これは、主にココとこちら側の世界で痛いと思っているのぞみと、パルミエ王国の復興が第一のミルキィローズの見解の違いであろう。

■リアルすぎるブンビー

 ブンビーというキャラは特異な敵キャラだ。オッサンの敵キャラなのに制作側の愛を感じる。それは5のナイトメアと、GOGOのエターナルが現実すぎるのである。5ではプリキュアに負けがこんで業績不振になり、年下上司(推定)のカワリーノ直轄の部署に吸収される。5終盤でナイトメアに見切りを付けるものの、かろうじて転職した先のGOGOのエターナルではお茶くみが主な仕事のように見える。せっせと書いた報告書も目を通さずゴミ箱行きというパワハラも受ける。お茶の領収書も受け取ってもらえない。
 敵の“幹部”というには世知辛い。
 そんなエターナルにおいて、ブンビーは居場所が無くなっていく。彼が居場所を無くしたのは彼自身の責任というよりは、彼を雇用しているエターナルに原因が多々ある。彼に労働者としての適切な役割や居場所を与えればプリキュアを襲う理由が無くなる。もっとも、エターナルで役割が与えられるという事はプリキュアを襲う仕事になるのだが。
 そして、ブンビーはプリキュアになれないオッサンである。「プリキュアのリーダーになる」というのは極端な話としても、そう言い出す時点で、ブンビーのエターナルに対する忠誠は無いのである。つまり、ブンビーが若い女の子のキャラなら、プリキュアの味方になれていた可能性を秘めている。
 プリキュアこそになれなかった彼だが、最終話では、小さいながらも独立した会社を構えるという“救い”が用意されている。現実的すぎて世知辛い彼を“倒す”物語にはできなかったのであろう。

■敵幹部の悲恋物語

 5、GOGOの大きな要素にのぞみとココの恋愛物語がある。一般人と王子という結ばれにくい立場での恋愛はある意味王道だ。ポジティブが信条のプリキュアにおいて悲恋は似合わない。
 そのため、悲恋の物語が進行するのは敵側である。
 エターナルの館長はフローラを手に入れたいという願望に変えられているが、館長なりの愛情表現で、フローラを好いていると捉えても問題無いであろう。そして、その館長に幹部のアナコンダが想いを寄せている。こじつけではなく、この三角関係があるため、フローラが館長に宛てた手紙をアナコンダが隠し持っていたのだろう。GOGOにおいて“手紙”は重要な要素で、単純に紙に書かれた文面と言うより、“想い”の物質化だ。つまり、アナコンダが手紙を隠し持っていたのは、フローラから館長への“想い”が伝わるのを阻害していたのである。
 その三角関係はアナコンダと館長の消滅という悲恋で終わる。最後に光の中からアナコンダが館長を迎えに来たのは「あの世では一緒に」的で悲恋であろう。

■ココは政略結婚すべき

 パルミエ王国は周辺を4つの国に囲まれていて、その一つのクレープ女王がでてくる一連のエピソードがある。クレープはココに「結婚してパルミエクレープ連合を作らないか」と誘う。これは、ごく自然な流れであろう。ココはここまで言われたら政略結婚すべきなのだ。けっしてヤキモチを焼いているとかではなく(笑)。
 なぜ政略結婚すべきなのかというと、パルミエ王国とクレープ王国が平和的に併合して安定した国家になるのであれば、それは、国民のことを思えば進んで行うべきなのである。ここに王制という足かせがある。王制は国王がそのまま国といってもよい。国王の命運がその国の命運になる。国王だけをなんとかすれば、その国はなんとかなったのも同じである。小国の国王であり、また、もう一人の王ナッツがこちら側の小国が滅ぼされた歴史を学んでいるのなら、政略結婚というのは妥当な選択肢であろう。しかし、それをのぞみとココの恋の障害とする事で、二人の恋愛の話が盛り上がるのも事実である。

      • -

んー、章の入れ替えをした方がいいかな。

      • -

今日のシェイプボクシングもおやすみ。
体重は-0.7kg。
減っているけど、3日間で+0.3kgぐらい。

      • -

今日のラブプラス
寧々さんと勉強会。
勉強会をサクッと終わらす方法がわからない。